音読教育が条件反射の原因 |
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さて、この、左脳型の人が文字を読もうとすると、つい視野を狭窄させてしまう条件反射が起きるようになった発端の1つは、最初に文字を覚える際の音読教育にあると思われます。母親が子供に文字を教える時や、小学校の授業、中学校の英語の授業などでは「子供が文字を」「生徒が教科書の文章を」正しい読み方で読んでいるかどうか、チェックをするために、まず音読をさせます。 |
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これは、生徒(子供)に正しい文字の読み方を覚えさせるためには、どうしても踏まなければならない必要な手順です。ところが、たとえばピアノやエレクトーンのような鍵盤楽器ですと、いっぺんに鍵盤に10指を叩きつければ、同時に10音を出すことができます。 |
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しかし、人間の声帯というのは管楽器が音を出すメカニズムと同じで、一度に2つ以上の音を発することができない構造になっています。そこで音読となると、文字を端から1つずつ、順番に読んでいくことになります。 |
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直列処理と並列処理 |
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こういう「端から1つずつ、順番に」という情報処理の方式を直列処理といいます。これは、文字情報に限りません。たとえば、駅で駅員さんが、安全確認をするのに1つずつ順番に指で示しながらやっていく、あの指差し確認もまた直列処理です。それをいっぺんに10音をならすような方式、一度に複数の情報が送られる方式は、並列処理と呼びます。 |
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やがて読書力がついてきて、文字を正しい読み方で読むようになり、いちいち音読する必要がなくなって黙読に切り替えるようになってからも、英語などの外国語を学ぶ時は必ず発音チェックのために音読させますから、そのまま従来の習慣が「文字は端から順番に読んでいくもの」という条件反射として残ります。 |
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そうすると、その時点で意味を読み取っている対象の文字以外の文字は、、見ても意味がないわけで、大多数の人は、視野に入って網膜に映っていても、見ないように意識の視野から除外してしまいます。この除外の条件反射の弱い人は、幼い時から夢想力や空想力が発達していて、文章を読みながら、常にその内容を右脳の視覚野を用いて映像変換・イメージ変換する、ということを自然にやってきた人なのです。 |
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多くの脳細胞をスイッチON状態に保つために |
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映像変換・イメージ変換のためには、多くの脳細胞をスイッチONにしておかなければなりません。逆に意識の視野の絞り込みを行なうためには、多くの脳細胞をスイッチOFFにし、局部的にスイッチONにしなければなりませんが、明らかに両者は相反しています。 |
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そこで右脳型の人は、視野の絞り込みの条件反射を全く起こさないか、起こしても、非常に弱いのです。「意味のある文字だと思わずに、無意味な模様だと思って、広い範囲の文字を識別するようにしてみてください」と言われても、できる人は例外的に少数のはずです。これは、それだけ強い条件反射が起きている、ということになります。 |
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ここで皆さんの中には、こういう疑問を持つ人がいるかも知れませんね。「黒丸は単純な図形である。しかし文字は、細かくて複雑な形をしている。狭い範囲の文字しか識別できないのは当然。詭弁で引っかけようとしているのではないだろうか?」と。当然の疑問ですが、そうではないのです。 |