速読法は他の潜在能力を開放する入口の鍵になる |
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さて、ここで「何だ、潜在能力が顕在化することいっても、速読じゃないか」と思う人がいるかも知れません。ところが、先ほども述べたように2)のブレーキ、視野を狭い範囲に絞り込むブレーキというのは、脳細胞の一部のスイッチだけをONにし、残り大部分のスイッチをOFFにしてしまう機構でもあるのです。 |
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そのブレーキを外すということは、それまでOFF状態にあった脳細胞の、かなりの部分のスイッチをON状態に切り替えることになります。つまり、読書能力を高めることによって、それ以外の様々な能力が連動して向上してくるのです。情報が、高速化、肥大化、多様化、多次元化していく現代社会にあっては、単に情報処理のスピード的な能力だけでなく、創造力、企画力、発想力、イメージ力など様々な能力が要求されます。 |
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そういう能力に欠けていては、どんな分野でも、重要なポジションに就くことができません。しかし、そういう能力を訓練によって伸ばすのは、実際問題として非常に困難です。その理由は、ついつい「努力する」「頑張る」「神経を集中する」といった意識の力に頼ることになりがちだからです。 |
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このような意識を強く働かせると、人間は往々にして目先の狭い範囲のことしか見えなくなります。そういう状態は、脳細胞の一部のスイッチをONにして、残りの大部分のスイッチをOFFにする、ということですから、「能力を伸ばす」という観点に立つと、「アクセルを踏んでいるつもりで、実はブレーキを踏んでいる」ということになります。 |
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スポーツで下手な選手に「もっと○○の力を抜け!」と指示すればするほど、要領がわかっていないために余計に力が入ってしまう、という現象が起きることがありますが、それと全く同じです。そういう場合、優秀な選手を育てるのに、まず欠点を矯正していくのと、ひとまず、欠点は放置し、まず長所から伸ばしていくのと、どちらが先に実効を上げるかといったら、圧倒的に後者です。欠点の矯正から入ると、たいていの選手は萎縮してしまい、伸ばせるものも伸ばせずに終わることが多いのです。 |
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ところが、長所から伸ばしていくと、欠点も割合にスンナリと矯正できてしまいます。それでは能力開発の場合には、どこから鍛えるのが最もよいかというと、最も伸ばしやすいところから伸ばすのが効率がよいので、速読法という目から入ってくる情報処理の効率を上げることです。能力開発においては、前者の「欠点から矯正していく方式」は何に相当するかと言ったら、記憶術でしょう。 |