眼筋は眼球の形状を正常に保つ生体バネ |
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さて、いずれかの方向で、あるいは全部の方向で、10秒間で20回の目標数値が達成できなかった人ですが、6本の眼筋の位置を示した解剖図を見てください。眼球の周囲に付いているこれらの眼筋は、手足の筋肉と同じように、収縮する機能を持っていますから、一種の「生体バネ」だと考えることができます。眼筋が衰弱するということは、バネの引っ張りの力が弱くなるのと同じです。 |
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そこで、前ページのチェック運動で、どの方向も均等に遅かった人は、バネが弱いために、眼球が内部からの膨圧で、わずかながら前後方向に長く伸びてしまうことになります。そうすると映像が網膜よりも前方に焦点を結ぶために、真性近視になってしまっています。こういう状態を、眼軸が伸びていることから「軸性近視」とも呼びます。 |
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そこで、眼筋トレーニングを実行して眼筋に筋力を徐々に復活させると、真性近視でも、長くなった軸が徐々に収縮して、それと共に視力が戻ってきます。最悪でも、現在以上に視力が低下するのを防ぐことができ、どんどん視力が落ち続けて毎年のように眼鏡やコンタクトを交換していた人でも、そこでストップさせて現状を維持できます。 |
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次に、往復運動が方向によって回数のバラツキが大きかった人ですが、これは、また衰えていない眼筋と衰弱した眼筋、というバラツキがあるということです。つまり、バネに強弱のアンバランスがあるということですから、そのために眼球が内部圧でヒシャげてしまい、それが角膜に円柱状の歪み(本来ならば球面状であるはずを、円柱の表面の形に近づけるような歪み)を発生させます。 |
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これが乱視で、1本しかない線が何本にも重なって見えたりボヤケたり、複雑な文字の識別にわずかながら時間を食うようになって、その累積効果で読書速度が落ちていきます。トレーニングで眼筋力のアンバランスを補正し、どの方向も同一回数がこなせるようにすると徐々に乱視の度が弱くなります。このように、視力が落ちていくと確実に読書速度を低下させますから、その防止のためにも視力回復トレーニングが必要です。また、それ以外にこのトレーニングは大きな必要性を持っています。 |
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その理由ですが、目が動くスピードが上回ったスピードで文字を追って読むことは、絶対にできないからで、通常は目の動くスピードが読書スピードの上限になります。視力が悪く、眼筋が衰弱していて目が素早く動かせない人の中には、首の文字列に合わせて上下あるいは左右に動かしてカバーする読み方をする人がいます。しかし、こうした読み方では、首は絶対に目ほど速く動かせませんから、すぐに壁にぶつかります。 |
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まず最初は眼筋ストレッチ運動から |
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さて、いきなり過激な運動は無理ですから、次の要領に従い、硬くなった眼筋を柔軟にする眼筋ストレッチ運動をやってください。これは、全身運動の場合の準備運動に相当します。 |
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1 |
椅子に腰掛けて背筋を伸ばし、2メートル以上の遠くを見やる。 |
2 |
楽な気持ちで、首を動かさずに(ただし、ガチンガチンのこわばった姿勢をとるのではなくて、筋肉をゆったりさせたリラックスした姿勢で)目だけをゆっくり動かすようにしてずっと上を見ていく。 |
3 |
これ以上は動かせないところまで見上げる。 |
4 |
少し停止して、今度は下を見ていく。 |
5 |
やはり、ゆっくり動かして、これ以上は動かせないところまで見る。 |
6 |
眼筋を引き伸ばすのが目的なので、均等のスピードで動かす必要はない。正面の位置では、多少は早目に通過してもさしつかえない。 |
7 |
この、目を動かす上下運動を、10秒間続ける。 |
8 |
その次は同じ要領で、左右の運動を、10秒間続ける。 |