VDT作業の前後に眼筋ストレッチ運動を
 
この上下の眼筋ストレッチ運動を、あなたのVDT作業の時間が長かったり、読書量が多いようでしたら、いきなり開始せず、作業や読書に取り組む前に準備運動として行なってください。まず、準備運動として行なった場合ですが、いきなりそれに取り組むよりも、実際に作業に入った時に、速いスピードで作業読書を行なうことができます。ランナーが、スタミナを温存して全く準備運動しないで走り出す場合と、スタミナを失っても、十分にウォーミング・アップをしてから走り出す場合とでは、タイムは絶対に後者のほうがよくなるのと同じことです。
 
また、疲れている時に、そのまま休んでしまうよりも、これを整理運動として行なってから休んだほうが、疲労の回復率が高く、回復スピードが早くなります。人間は、疲れを覚えた時は、必ず使った部位の周辺で鬱血(血液の流れの停滞)を起こしているからで、それがマッサージ効果で解消されるのです。たとえば、日頃でも、本当にクタクタに疲れた時というのは身体を動かすのが億劫で、風呂に入ることさえ面倒に感じることがあるのですが、それでもそのまま寝てしまうよりは、無理をしても入浴してから休んだほうが、翌朝の回復度が早いのと同じ理屈です。
 
眼筋トレーニングは徐々に増やしていく
 
トレーニングに取り組み始めて最初の1週間は、まず萎縮している眼筋のマッサージを目的に、眼筋ストレッチ運動だけを行なうようにしてください。2週間目からは、今度は眼筋の強化を目指して、クイック運動に取り組みます。これは陸上競技の短距離の反復ダッシュのトレーニングに相当する強い負荷を眼筋に与え、発達させるのが目的です。
 
次の要領で行なってください。
1 制限時間は、1種類の運動(内容については、後述)につき、10秒間。ただし、視力が0.1未満の人に限り、最初の1週間は5秒間で身体(眼筋)を慣らし、2週間目から10秒間に延ばします。
2 10秒間で取り組み、めまい・吐き気などの不快感を覚えた人は、直ちに休止して5分間以上の休憩を挟み、約半分の制限時間で再開します。つまり、10秒間だった人は5秒間に、5秒間だった人は3秒間に短縮して行ないます。
3 可能であれば毎日、朝晩の2回ずつ行なうとよいでしょう。調子に乗って数多く行なうと、オーバーワークによる逆効果で、かえって視力を低下させることがあります。
 
眼筋トレーニングはリハビリのように気長に
 
トレーニングに取り組んで1ヵ月を経過して慣れたら、3のトレーニング回数を徐々に増やして結構です。たとえば、1ヵ月と1週間目には1日に3回、1ヵ月と2週間目には1日に4回、というように増やしていきます。ただし、そうやって1日のトレーニング実行回数を増やしていった場合でも、連続的に行なうことは避けて、1時間以上のインターバル(休息)を挟んで行なうようにしてください。
 
このように必ず一定以上のインターバルを置くのは、たとえば病院に入院してベッド生活を送り、足腰の弱くなった人が退院後、筋力を付けようとしてリハビリにジョギングに取り組み始めたことをイメージしてもらうと理解できるはずです。いきなり初日から、長い距離に取り組んだら、筋肉を付けるどころか、挫折する、肉離れを起こすなど、故障を引き起こすのが「関の山」です。
 
また、ある程度の筋力が付いてからでも、休まないで、のべつまくなしに四六時中ひたすら走り回っていたら、やはりオーバーワークで様々な故障を引き起こします。上手に休息を挟み、徐々にトレーニング量を増量する、これがポイントです。


戻る  目次  次へ