最後は《眼筋円運動》で締めくくる
 
さて、次に眼筋円運動図を参考に、自主教材を作成し、眼筋ストレッチ運動の1つとして、必ず最後に実行してください。いわば「整理運動の中の整理運動」のような運動で、要領は次のとおりです。
 
1 円の弧上にある黒マルに視点を置き、右方向に円に沿ってゆっくりと視点を移動させます。
2 一周すると、今度は、左方向にゆっくりと視点を移動させます。この1、2の運動を交互に3回ずつ行なってください。
3 できるだけ大きく動かすのがいいので、教材は少し目に近づけたくらいの感覚で行なってください。
 
この眼筋円運動の目的や効果ですが、次のようなことが考えられます。
効果のA・・・・・眼球を回転させる運動は、6種類の眼筋のすべてを使う運動ですから、整理運動として、非常に有効です。
効果のB・・・・・眼筋力にアンバランスがあると、円を描く時に均一のペースで動かすことができず、速くなったり遅くなったりします。また、上手に円が描けないで、図形が歪みます。そのチェックができます。
 
現在の読書速度を確認
 
それでは、並行して初級の速読法の訓練に入りましょう。眼筋トレーニングが完了してからこの訓練に入るのではなく、同時並行に両方の訓練を一緒に始めてください。まず最初に、あなたの現在の読書速度を確認しましょう。そうでないと、速読法の訓練によってどれほど上達したのか、認識できないからです。「上達が認識できないって、どういうこと?」と疑問に感じた人がいるかもしれませんが、人間というのは自分の能力の伸びは、自分自身では認識できないものです。
 
たとえば、あなたがウェイト・トレーニングで、ベンチ・プレスに取り組んでいると考えてください。あなたは自分の筋力が付いたのを、どうやって確認することができますか?あくまでも、持ち上げたバーベルの重さを確認してわかるので、力の入れ具合では分からないはずです。最初は50キロしか持ち上げられなかった人が、倍の100キロを持ち上げられるようになったとして、自分自身が力を込めている一生懸命さの度合は、ほとんど変化がないでしょう。
 
自分の能力の伸びは、客観的な確認用の“物差し”が必要なのです。当研究会のトレーニング・ソフトの中には読書確認のプログラムがあって、さまざまなジャンルの文章が載っていますから、それで測定してください。ディスプレーに表示される指示に従って文章を読むと、画面に読書速度が表示されます。いつもより急いで読んだり、内容把握を大雑把にして読んだり、あるいは逆に読んだ後で質問させても答えられるようにと、内容を記憶するようなつもりでジックリ読んだり、というように読み方を変えないで、あくまでも平常どおりの“自然体”で読んでください。
 
さて、結果がでたら、その数値がどのくらいの位置付けに相当するか、新日本速読研究会で集めた大勢の人の読書速度のデータと比較してみることにしましょう。日本人全体の平均読書速度は分速400文字ですが、これは老人から幼児まですべての世代を含んでの数字ですから、個人個人にとって、あまり参考になりません。次に述べる数値と比較して、あなた自身の必要度を認識してください。
 
1 分速300文字レベル 
  日本にやってこ来た外国人や帰国子女で、わりあいよく日本語が使いこなせる、という人が、このくらいの速度で読みます。ですから、健康な成人でこの速度でしたら、かなり遅いということになります。
   
2 分速400文字レベル 
  子供から老人までを含めた日本人全体の読書速度が、このくらいの速さになります。健康な成人では、やや遅いということになります。
 
3 分速600文字レベル 
  健康な成人の平均読書速度が、だいたいこのくらいの速さになります。
 
4 分速800文字レベル 
  読書量が多く、読書に慣れ親しんでいる人が、だいたい平均して、このくらいの速度で読みます。
 
5 分速1,000文字レベル 
  かなり読書量が多く、しかも日常業務でも比較的多くの文書を処理する人が、だいたい平均してこのくらいの速度です。平均に比べ、やや速い読書速度です。
 
6 分速1,200〜1,500文字レベル 
  単に読書量が多いだけでなく、日常業務で文書を大量に処理することを要求されている職種の人や、一流大学の学生が、だいたい平均して、このくらいの速度です。難易度の高い資格試験に、このレベルの読書速度は必要です。


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