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次は、低速ページめくり訓練です。ページをめくるスピードが遅くなるに従って、文字を見る要素が増えてきます。その時、いかに従来どおりの1文字ずつ見てしまう読み方にならないようにするか、視野を広く保った状態にするか、これが速読法上達の最大のポイントです。次のことにして注意して、トレーニングを実行してください。 | |
1 | 1ページずつ、より正確にめくってください。可能な限り均一ペースでめくるように、また飛ばしてしまうページが出ないように、指先をより鋭敏にしてください。 |
2 | 1秒で8ページ、1秒で4ページ、1秒で2ページなど、さらに細かく段階を分けてペースを落としていくカウントダウンをやり、前章でやった2点以外読まず訓練とドッキングするようにします。 |
3 | 一度に両側の2ページ全体の文字が識別できる広い視野を持っていない人は、細かく視線を走らせてください。 |
4 | 視線の動かし方は、どういう軌跡を描いても自由です。要するに、ページをめくるまでの間に全文字を識別してしまうことがポイントです。黒板拭きで大急ぎで黒板の文字を消していくような感覚で、ページに印刷された文字を捉えてください。 |
5 | 同時に、文章の意味を読み取ってもらいますが、読み取ろうとした時に、絶対に視野を狭めないようにしてください。また、見る順序と文章の意味の順序が違っても、頭の中で順番を並べ替えて理解する練習をしてください。 |
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この中で1から4までは、これまでのトレーニングの延長上にくるものですから、それほど難しくはないだろうと思います。問題は5を実行するかです。これが右脳読みのスタートになります。これまでの習性というのは強固にしみついていますから、意味を読み取ろうとした時、多少は視野が狭まるのは、仕方ありません。 | |
しかし、視野が狭まり過ぎると、上方の領域を読んでいる時には、下方の領域の文字が全く判別できなくなります。文字が判別できなければ、そこに書かれている内容におおよその見当をつける、ということができません。そうすると、見る順序と文章の意味の順序が違っても、頭の中で順番を並べ替えて理解するなどということは、絶対にできるようになりません。 | |
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では、低速ページめくりをさらに細かくしたカウントダウンのやり方を説明しましょう。このトレーニングを正確に行なうには、音楽用のメトロノームだとか、一定のリズムを録音したテープなどの小道具が必要です。そういう小道具が用意できたら、次のような要領で取り組んでください。 | |
1 | 最初は、1秒ごとに8ページをめくるペースで各ページを見ていってください。このスピードでは、よほど上達した人でない限り、文章内容は読み取れないはずですから、視野を狭めずに目を動かすということは、それほど無理なくできるでしょう。全領域の文字を識別する、ということに関しては、まだ相当に速いので、もれ落ちが出ると思いますが、それは仕方ありません。 |
2 | 次はペースを半分に落として、1秒ごとに4ページをめくるペースで各ページを見ていってください。かなりペースが落ちていきますから、そろそろ全領域の文字をもれなく識別できるだろうと思います。そうなると、かなり文章内容がわかるはずですが、この段階ではまだ、視野を狭めないことに最大のウエイトを置いてください。 |
3 | さらにペースを半分に落として、1秒ごとに2ページをめくるペースで各ページを見ていってください。使っているのが大きい文字の本ですと、内容(文字数)が少ないですから、このスピードで順番どおりに(縦書きの本だと右から左に)文字を追うと、意味がボンヤリとながら、わかってきます。 |
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視野を狭めずに見ていると右脳が活性化され、見たものを映像として捉える記憶力が徐々に教化されてきます。つまり、短期の記憶の持続時間が、わずかながら引き伸ばされるのです。そうすると、頭の中で見たものを上手に順序どおりに並べ直す継ぎはぎ作業が行なわれて、見る順序が狂っても、ほぼ正確に内容が把握できうようになります。 | |
また、見方がかなり細かくなっていますから、実際の感覚としては、2点以外読まず訓練とちょうどドッキングして、混ざり合ったような読み方になっているはずです。こういう見方を、後の章で取り上げる視幅・識幅の拡大トレーニングと、ブロック読み訓練で最終的に仕上げて実用的にします。 |