「ブロック読み」こそ速読法
 
一般的に普通の人が「こそこそが速読法だ!」というイメージを抱いている速読法、多くの文字を一度に読んでしまう読み方は、「ブロック読み」と呼ばれるものです。まず「ブロック読み」の意味と意義は、次のように要約することができます。
 
1 普通の人が、文章を端から順番に1文字ずつ(英文の場合は1単語ずつ)読んでいくのに対して、文章を縦にも横にも十数文字、数十文字というような広い区画(ブロック)で意味を把握して読み進む読み方のことを、ブロック読みと言います。普通の人は各行を「線的」に読んでいきますが、ブロック読みでは隣接した複数の行を同時並行に読むことになりますから、読み取る範囲の広がりがあり、そういう点で「面的」な読み方であると言うことができます。
 
2 「ブロック読み」では、一度に、そのブロック全体に含まれている文章の意味を読み取り、理解します。ですから、読み取るまでの時間が非常に短く、従来の逐語読み(なぞり読み)と比較して同じ文章量を読破するのに、数分の1から数十分の1という短時間ですみます。また、なぞり読みと違って視点を頻繁に動かしませんから、疲れず、長時間の読書に耐えることができます。その他に身に付く能力として、一度に読み取れる面積が大きくなるので、一定面積の中に混入した間違いを捜し出すといった検索的な作業(たとえば検査資料の顕微鏡観察で、病原菌を捜し出すような作業)も、従来より格段にスムーズに運ぶようになります。
 
このような様々な副次的効果がありますから、ブロック読みが修得できれば間違いなく有利で、また右脳が活性化されて創造力が発揮できるようになるという点で、ブロック読みができるか否がというのは、大きな尺度・目安になります。
 
ブロックが1ページ大まで広がらない場合の読み方
 
トレーニングしてもどうしても一度に読み取れるブロックの面積が1ページ大まで広がらない場合には、例えば1ページをいくつかのブロックに分け、読み取るブロックを順番にずらしていって最終的に全ページをカバーする、という読み方をすることになります。例えば、新聞のあるページ全体をコピーしたいと考えた時、通常のコピー機では1ページ全体を一度で複写することができません。
 
そこで、いくつかに分割コピーし、継ぎはぎすることによってページ全体をカバーしようとするでしょう。それと同様な見方をするわけです。そうすると、ブロック内で意味の逆転が起きます。例えば、最初に読んだブロックの後の方の行は、その次に読んだブロックの前の方の行の前にくるはずになるわけです。こういう場合の読み方は、次のように考えてください。
 
1 意味の読み取りは、網膜に映った映像の文章を直接に読んで行なう従来の読み方から変化し、いったん右脳の視覚野に短期の映像記憶として転写する。
 
2 その短期の映像記憶を、コピーの継ぎはぎのように連結して、意味の不連続点や逆転部分をなくし、順番どおりに読んでいく。だから、意味の混乱や取り違えは起きない。つまり「右脳の視覚野に転写する」という余分な工程が入るわけですが、これは、ある程度以上、右脳が活性化していないと、映像が片端から消滅してしまうので不可能です。
 
右脳型人間は上手に順序を修正しながら読む
 
上記の説明でピンとこない人は、映像やテレビ・ドラマの撮影のことを考えてください。映画やテレビ・ドラマには必ずシナリオがありますが、撮影は決してシナリオの順番どおりに進めていくようなことはしません。映画やテレビを見ていると、同じ場所が間を置いて何度も出てくることがありますが、そういう場合に、撮影現場では移動の手間を少なくするために、全部をまとめ撮りしてしまいます。そして編集の段階で、ちゃんとシナリオの順番どおりに並べ替えるわけです。
 
ベテランで凄腕の監督になってくると、場所だけでなく時間の前後関係まで目茶目茶にして撮影する人がいます。例えば、ある日の朝と午後、その次の日の朝と、同じ場所で撮影するとしたら、日光の加減などで、連続して朝のシーンを撮影した方がいいでしょう。実際には、もっと複雑怪奇に前後関係を入り組ませて撮影が行なわれます。場所を移動して撮影する場合も、シナリオの順番より、移動距離の長い短いで次の撮影場所が選ばれるのですから。
 
こうやって右脳型の人の仕事を見てきますと、まだこれからの人でも先ほどのブロック読みのことが漠然と理解できるはずです。右脳的になれば、前後関係を逆にして見ても、頭の中でそれを正しい順序に並べ直すのは、それほど困難なことではないのです。


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